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お知らせや矢作芳人通信などの最新情報
Announcements and updates about trainer Yoshito Yahagi,
including “Yahagi Line Communication” and “YY library”.
YY library
2001.2.1 thu
競走馬にとってファンファーレは単なる「雑音」
2年ぶりに函館競馬場に出張している。先週はこちらで初めて担当馬を出走させて4、2着。特に4歳未勝利のテンカフブは、これで4走連続の2着となり、とても残念であった。だが、今回の競走では彼に大きな変化が見られた。テンカフブは、いわゆる〝イレッポ〟である。パドックから返し馬、ゲート内でも常に落ち着きがなく、それが原因で出遅れたことも何度かある。ところが先週の競馬ではイレ込みもかなり治まって、馬が実にスムーズに気持ちよく走っていた。これは皇太后さまご逝去による音響自粛でファンファーレ、本馬場入場曲がなく、競馬場全体が静かであったことが大きな理由だ。
今回の措置に対しては、われわれ関係者の間でも「何か物足りない」、「盛り上がりに欠ける」などの声があがっていた。しかし、それは人間の勝手、エゴにすぎない。レースに集中する馬たちにとって、前記の音響は〝雑音〟でしかないのだ。
欧米、特にヨーロッパ競馬の経験のある方はご存知と思うが、向こうではレース前は静かで、レースが終わるとそれが一変し、勝者に対する称賛で大きく盛り上がる。それが洗練された競馬というものだろう。
わが国ではなぜ、それができないのだろうか?
日本の競馬ファンは、ファンファーレがないと盛り上がれないほど、底の浅い人たちではなかったはずだ。流れを変えよう。